こんにちは。
以前、社会保険の全体像のついて書いたのですが、今回はその中の公的医療保険に絞って基本的なところを押さえていきたいと思います。
公的医療保険とは
公的医療保険とは、私達が怪我や病気になって病院で診察をしてもらった時に医療費の一部を公的な機関が負担してくれる制度です。
皆さんが病院へ行った時に保険証を提示すると思います。
あれです。
日本の公的医療保険の特徴
【国民皆保険】
全ての人がどこかの公的医療保険に加入し、全員が保険料を払うことでお互いの負担を軽減している
【フリーアクセス】
全ての人がどの医療機関でもどの医師の治療でも受けることができる
【現物給付】
医療費の払い戻しではなく診察や治療などの医療サービスを受けることができる
上記の特徴は日本なら当たり前のことですが、諸外国では必ずしもそうではありません。これは日本の公的医療保険の大きなメリットと言えます。
財源
被保険者負担額
事業主負担額
国や地方公共団体等の公費
患者の窓口負担額
医療保険の種類
健康保険
民間企業で働く従業員等及びその扶養家族が加入(労働条件の満たせばパートやアルバイトも加入可能)
◆健康保険組合:主に大企業の従業員等
◆全国健康保険協会(協会けんぽ):健康保険組合のない会社の従業員等
保険料は標準月額報酬(4〜6月の給与の平均)をもとに計算される
出産手当金や傷病手当金などを受け取ることができる
共済組合
国家公務員、地方公務員、教職員等及びその扶養家族
保険料は標準月額報酬(4〜6月の給与の平均)をもとに計算される
国民健康保険
都道府県及び市区町村が運営
自営業者、農業を営む方、専業主婦、年金生活者、無職の方等、特定の企業の属さない方が対象
扶養という概念がない
保険料は前年の所得や加入者数、年齢等をもとに世帯ごとに計算され、世帯主が納付義務者となる
後期高齢者医療制度
高齢世代の医療負担を軽減するための制度
原則75歳以上の方が加入
一定の障害を持つ65歳以上の方も加入可
自己負担割合
◆〜6歳:2割
◆6歳〜69歳:3割
◆70歳〜74歳:原則2割 → 現役並みの所得者は3割
◆75歳〜:原則1割 → 現役並みの所得者は3割(2022年10月より一定の条件に該当すると2割負担となる)
代表的なその他の制度
高額療養費制度
ひと月の医療費が一定の水準を超えた場合、それを超えた分を払い戻す制度
出産育児一時金
被保険者及びその被扶養者が妊娠85日以降に出産した場合、一児につき42万円支給される
出産手当金
健康保険に加入している女性の、産休中の経済的なサポートのために支給される
傷病手当金
病気や怪我で会社を休む場合に、給料の代わりに生活を保護する目的で支給される
公的医療保険の問題点
ここからはあくまで私見になります。
誰の目にも明らかであり、かねてから言われ続けていることですが、いわゆる団塊の世代が一気に高齢化し、制度を支える現役世代が大きく減少していく中で、後期高齢者の医療費の窓口負担割合を増やす必要が議論され、2022年10月1日から「課税所得が28万円以上、年金年収+その他の合計所得金額が200万円以上」の人の窓口負担が2割となります。
そんな最中に新型コロナの感染拡大もあり、医療現場も日々状況が変化しています。
経済活動の縮小による景気の後退が保険料収入の減少を招き、税収の減少による国家財政の悪化に伴い国の歳出に占める社会保障関係費の割合が増加していく中で、公的医療保険制度における収支のバランスが明らかに崩れてきています。
これからこの制度を維持していくための財源をどうやって確保していくのかは、既に今直面している問題です。
公費の割合を増やすのであれば、増税等が必要になるでしょう。保険料収入を増やすのであれば現役世代の負担を増やすのか、そもそも現役世代の人口を増やすために出生率を上げるのか、移民を認めて海外からの人の流入を増やすのか、本人の窓口負担を増やすのか、もっと根本的なところで自己責任の考えを採用して、公的制度そのものを見直すのかなど、様々な選択肢があると思います。
勿論、これらを全て組み合わせることもあり得るでしょう。
もう既に将来の問題ではないので、タブー無しの本質的な議論が必要です。
今回も最後までお読みいただき有難うございました。
【参考】
厚生労働省
我が国の医療保険について
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